アルムナイとは
メールアイコン メニューアイコン

アルムナイとは
新たな採用チャネルのメリット・デメリット

-急いでいる方向け-

アルムナイとは主に人事領域において使われる言葉で、「企業の退職者」を指します。似た概念にはOBやOGがありますが、これらはただ単に企業を卒業した人というニュアンスが強い一方、アルムナイは「アルムナイネットワーク」や「アルムナイ制度」という文脈で語られます。

| アルムナイの定義と注目の背景

ここでは最初にアルムナイの定義や近年大企業から注目を集める背景について簡単に解説していきます。

新たな採用チャネルに繋がるアルムナイ

アルムナイとは主に人事領域において使われる言葉で、「企業の退職者」を指します。似た概念にはOBやOGがありますが、これらはただ単に企業を卒業した人というニュアンスが強い一方、アルムナイは「アルムナイネットワーク」や「アルムナイ制度」という文脈で語られます。アルムナイネットワークで企業と退職者同士がつながりを持ち、アルムナイ制度(出戻り制度)によって、退職者が再び企業で働く……。こういった一連の動きが、今新たな採用チャネルとして、注目を浴びています。

人材不足を背景に広まるアルムナイ制度

これまでアルムナイネットワークやアルムナイ制度は、いわゆる「人材輩出企業」と呼ばれるような大手企業を中心に導入されてきました。しかし、近年は終身雇用制度が崩壊して久しく、どの企業も中途採用で優秀な人材を獲得するための採用競争に追われています。労働人口の減少によって人材不足がさらに深刻化すれば、状況はさらに厳しくなるでしょう。こうした社会情勢を鑑みると、一度は会社を離れた「アルムナイ」も見逃せない存在となり、一般的な企業でもアルムナイ制度の活用が検討されはじめているのです。

| アルムナイ施策の4つのメリット

アルムナイの再雇用による人材確保

アルムナイの再雇用

アルムナイの一番のメリットといえるのが、人材の確保です。「一度退職した人をもう一度採用するなんて……」という心理的な忌避感を持つ方も多いかもしれませんが、フラットな目線で見てみると、実はアルムナイは「自社のことをよくわかっている、優秀な人材」となりえます。アルムナイは元社員だからこそ企業の良いところも悪いところも知っていますし、他社で新たな経験やスキルを培っているかもしれないからです。そんな人材が戻ってくるとすれば、少なくとも「入社してすぐに離職」という状況は考えづらくなります。このように、質の高い人材を高い確度で採用できる可能性があるのが、アルムナイ制度なのです。これは正社員のみならず、副業や業務委託の文脈にも当てはまります。

採用コスト・教育コストが低い

アルムナイ制度の導入は、コスト面でも利点があります。アルムナイネットワークで最初からアルムナイとつながりを持っておけば、当然再雇用する際は企業が直接交渉を行うことになり、エージェントフィーが不要だからです。もといた会社に戻るということで、本来なら数週間~数ヶ月かかるような教育のコストも、かなり低減できるでしょう。これは、通常オンボーディングに苦戦しやすいリモートワーク中心の企業であればなおさらうれしいポイントです。

採用ブランディングにつながる

アルムナイ施策で採用ブランディング強化

現在は転職が当たり前となっていますから、「退職してからも自分の力で食べていけるスキルが身に付いている」ということは、企業への採用の大きな決め手の一つとなります。そんな中では、転職活動をしている人の多くが気にする「元社員の退職後のキャリア」を、アルムナイを通して伝えられる点もメリットとなります。例えば、アルムナイへのインタビュー記事や講演といった手段で退職後の活躍をPR可能です。これは採用候補者だけではなく、現役社員に対するエンゲージメントの向上、離職率の低下にもつながります。「退職者がこんなに活躍しているうちの会社は、良い会社なんだ」と思ってもらえるわけです。

オープンイノベーションが可能となる

このほかにも、アルムナイと企業が関わることでオープンイノベーション的なビジネスの広がりを生み出すことも可能です。例えば、一度退職した人だからこそ一緒に人事課題についてディスカッションできたり、一定の領域に関して知見があるアルムナイにアドバイザーとしてジョインしてもらったり、新規事業の立ち上げを共同で行ったり……。あるいはアルムナイの転職先が新規顧客となる可能性もあるでしょう。もともと深いつながりを持っていたアルムナイだからこそ、副業、業務委託以上の協働を望めるかもしれないのです。

アルムナイ施策の2つのデメリット

ネガティブなイメージの払拭が必要

アルムナイ施策にSNSを活用

メリットでご紹介した「アルムナイの再雇用」という文脈では、どうしても社内でネガティブな印象を持つメンバーが出てきます。もちろん当人との関係性にもよりますが、「会社を裏切った人」と関わることに、感情面で納得できない部分が出てきてしまうのです。もし社内でこのような意見が出てきた場合は、まずは再雇用の事例を一つ作ってみることです。アルムナイによって実際に仕事が上手くいくことを実感さえしてもらえれば、徐々に社内の意識が変わるはずです。

情報管理には注意が必要

アルムナイと関わる際は、情報漏えいのリスクを考えた対策が必要です。例えばアルムナイネットワークと社内では活用するツールを分ける、機密情報の取り扱いに関する制度を取り決めるといった工夫をしましょう。ただしこれは、アルムナイネットワークの有無に関わらず、退職者がいる限りどんな企業でも抱えるリスクです。情報漏えいリスクを自社でしっかり管理するという意味では、逆にアルムナイネットワークの存在が有効に働く場面のほうが多いでしょう。

| アルムナイネットワークの構築

アルムナイ制度で退職者を再雇用する場合をはじめ、ビジネスに活用するにはまず「アルムナイネットワーク」の存在が欠かせません。ここでは、アルムナイネットワークを構築する主な方法とそのメリット・デメリットについてご紹介します。

SNSを活用する

アルムナイ施策にSNSを活用

FacebookやLinkedInなどのSNSを活用して、自然発生的にアルムナイ同士がつながるケースがあります。アカウントを持っていればお互いが気軽にフォローし合えるのが第一のメリットです。ただし、こうしたネットワークは非公式なグループとして存在することが多いのが難点です。企業側がアルムナイの情報を網羅できるわけではなく、管理もしづらい点はデメリットだといえるでしょう。また、必ずしも活動が活発になるとは限らず、形だけのグループになりがちです。

企業から情報発信する

メルマガやニュースレターなど、企業側からアルムナイに対して情報発信をすることで、アルムナイと企業がつながりを保つことができます。メリットは、企業の最新の取り組みに関して確実に伝えられることです。その情報がアルムナイの興味関心のある事柄であれば、アルムナイの再雇用につながるケースもあるでしょう。一方デメリットは、どうしても一方通行のコミュニケーションになってしまうことです。当然アルムナイ同士が情報交換をするようなパイプも作れないため、実際のところ「ネットワーク」とは言い難くなってしまいます。

自社の専用サイトを構築する

専用サイトを作成した上でアルムナイに声を掛け、アルムナイ同士のコミュニケーションや社内からの情報発信に活用するのも一手です。自社にとって使いやすいサイトを構築できれば、アルムナイ施策はぐっと促進されるでしょう。セキュリティ面も自社でコントロールできるのが利点です。一方、ゼロベースでサイトを作り上げるのは手間もコストもかかります。人事担当者や社内SEがしっかりコミットできる状況でなければ、施策実行のハードルは高くなってしまうでしょう。

アルムナイ専門サービスを利用する

アルムナイ専門サービス

サイト構築よりもハードルが低く、SNSのように手軽に使えるのが、オフィシャル・アルムナイ・ドットコムをはじめとしたアルムナイの専門サービスです。アルムナイ同士にクローズドな場で安心してコミュニケーションを取ってもらえるほか、企業側はアルムナイの情報を名簿として管理できる点がメリットです。もちろん、企業側から採用やビジネスに関する情報発信も容易です。サービスの利用コストはかかりますが、アルムナイネットワークを構築することそのものに関しては特にデメリットがないため、大手企業を中心に導入が進んでいます。

| アルムナイ施策の企業事例

アクセンチュア株式会社

アルムナイ施策の最も有名な企業事例の一つが、アクセンチュアです。アルムナイネットワークは30万人以上と非常に大規模で、求人情報の発信やイベント開催など、多彩な活動プログラムが78カ国で実施されています。アルムナイの再雇用も活発で、アルムナイ施策の一つの理想形といえるでしょう。

参考:https://www.accenture.com/jp-ja/careers/explore-careers/area-of-interest/alumni-careers

サイボウズ株式会社

サイボウズはオウンドメディア「サイボウズ式」などを通じて、最先端で働き方改革を行う企業としてのブランディングを行っている企業です。アルムナイという文脈ではサイボウズのアルムナイを登壇者に呼んだMeetupを開催し、アルムナイとのつながりを積極的に企業の情報発信の手段として活用しています。

参考:https://cybozu.connpass.com/event/67983/

サントリーホールディングス

サントリーは大規模なOB・OG会を開催や同期会を開催するなど、アルムナイ同士、あるいはアルムナイと現職社員同士の交流が活発に行われています。アルムナイが企業の研修会に参加するといった事例もあり、会社文化を基盤としたつながりが定期的に生まれています。

参考:https://alumnavi.com/suntory-alumni/ https://alumnavi.com/suntory-asahi/

| アルムナイ施策をご検討の方へ

デメリットよりもさまざまなメリットが多いアルムナイ。新たな採用チャネルとなる可能性があるのなら、ぜひアルムナイネットワークやアルムナイ制度を導入してみたいと思われる人事担当者の方は多いでしょう。

一方、デメリットの部分でも解説したように、企業によってはアルムナイが社内から「企業の裏切り者」として見られてしまうケースも多々あります。これは企業側からのみならず、アルムナイ側からも多かれ少なかれ同じような心理が働くかもしれません。「自分は会社を裏切ってしまったから、つながりは持ちづらい……」と思われても、なんら不思議はないということです。

人によって感情や状況がさまざまに異なるからこそ、アルムナイの採用やビジネスの活用といった、「自社の利益」ばかりに目を向けてはいけません。大前提として「企業としてアルムナイに提供できる価値は何か」を考え、その上でお互いにWin-Winなつながりを持とうとする姿勢が大切です。